ハイテクな時代へ

 人類の進歩はとどまることを知らない。それが己の首を真綿でじわじわと絞めている行為となんら変わりないことに気づかぬまま、崩壊へのエスカレータを一段飛ばしで駆け上がっているのだ。
 今日は友達のS君の買い物に付き合った。S君はハイテクノロジー機器である「PS2」を購入しようとしていたのだ。僕はそれを3年ほど前に入手している。世界を滅ぼす人間の業は僕一人が背負い込むには重すぎるので、かねてから彼には買いなさいと言い続けてきた。ようやくそれが報われる日がやってきた訳だ。僕はマッチ箱より小さな心しか持ち合わせていないのでS君が同じ業を背負ってくれることが純粋に嬉しかった。10年後、このことによって僕らが凄惨たる最後を迎えることになろうとは、このときの僕は考えてもいなかった。
 無事買い物を終えた僕らは、僕の家に集合しPS用ゲームで遊んだ。S君は予算の関係でPS2専用ソフトを買うことができなかったのだった。