うっかりさん

 大学生になったとき、若気の至りで家庭教師のバイトに登録をしてしまっていた。システムが面倒くさいので一度家庭教師をして以来、生徒紹介の電話をすべて断ってきた。
 今日も断るつもりでいたのだが、生徒さんは女の子です。と聞かされたときにS君の顔を思い浮かべてしまった。気づいた時には「いえす」と言ってしまっていた。
 僕は実にうっかりさんであった。激しく後悔する。
 なんでも来週の火曜日に一次面接をするそうだ。面接を受けてまで人に教えるほどのものは何一つとして持ち合わせていないので、面接官に僕がいかに幼女趣味であり、小学生までしか愛せないのかを説明してくる心積もりである。これで万が一にも教師に採用されることはないはずである。
 ただ、大宮まで行って自分の女性趣味を語るだけで帰ってしまうのは電車賃があまりにも勿体無いので、大宮で遊んでこようと計画を立てている。僕は転んでも転んだまま楽しもうとする不屈の精神、俗に負けず嫌いと言う、を持った素晴らしい人間なのである。
 とりあえずPCショップでDVDRを買いたい。現在使用中のノートPCの残り容量がかなりさびしいことになっているので、予てからデータを移しておきたいと考えていたのである。実にいいタイミングであった。これで仕事も捗るというものだ。