はりきれ

 試合まで時間がない。焦ってはいけない。焦って走り込みなどしていては、当日に筋肉痛に苦しむことになるだけなのは目に見えて明らかである。まって!!バットなんか握り締めて、僕はいったいなにをするつもりなんだ!?素振り?冗談じゃない。僕みたいな目のいっちゃってるオタクがこんなものを持って出歩けば、最近流行の児童誘拐犯にしか見えないではないか。当日をブタ箱のなかで迎えることになるのは目に見えている。
 やれやれ、全く危ないところであった。そう思っていた矢先、なんと僕はシャドウピッチングをしていた。このブタ野郎が!!そんなことをしたら階下の人間に騒音が響いて迷惑であろう。必死の思いで肩を揺さぶり自分で平手打ちをすることでなんとか正気をとり戻すことができた。
 とにかく日曜までは安全に暮らしていこうと思った。