読書感想文なんて久しぶり

 大学の課題で読書感想文がでました。中学生以来です。それで単位をくれるというのだからまったく手に負えません。大学教授というのは何を考えているのでしょうか。


 今朝の電車内でのこと。座席に腰をかけ、後ろに寄りかかりながら気持ちよく眠っていると突然頭頂部に鋭い痛みを覚えました。なにごとぞ!と目を開くと目の前にはお姉さま(推定年齢29歳)が。お姉さんは、すいません、と2回言いました。いったい何がすいませんなのか寝ぼけ半分の僕にはさっぱり理解できませんでした。お姉さんはしきりに僕の後ろに手を伸ばしているので、そこに理由があるのかと思い振り返るとお姉さんの手により遮光カーテンが半ばまで下げられていました。
 なるほど、こいつを下ろそうとして、眠っていた僕の頭に思いっきりぶつけてしまったわけですか。納得しつつお姉さんの変わりに下までおろして上げました。するとお姉さんは驚いた顔をして再び、すいません、と2回言いました。口癖みたいだなと思いました。『すいません』が口癖というのはなかなか同情を誘います。僕の高校時代(教室限定)での口癖は『すいません』と『ごめんなさい』だったので、余計に辛い思い出と重なってしまいます。でもお姉さんから可哀想オーラはでていないのでした。僕のような負けミジンコ(犬というのも憚られる)とは違うのだなと思いました。
 カーテンを下ろし終える頃には完全に目も冴えて、直撃だった頭の痛みを感じるようになっていました。痛いな〜と頭をさするとお姉さんがまたしても、すいません、と2回言うのでした。もうすっかり聴きなれてしまった言葉と、お姉さんの持つ独特なほのぼの空気に思わず声を笑ってしまいました。お姉さんも僕につられたのか笑い出したのでした。朝の通勤電車に響く2つの笑い声は僕ら2人のやりとりを観ていた乗客にも伝染して、辛く苦しいはずのラッシュ時間が心温まる時間に転変したのでした。