夢の時間はもう終わり

 今日が夏休み最終日で、明日から学校に行かなければならないのに宿題は手付かずの山済みになっています。僕に残された20時間はあまりにも儚い朝霧と大差ないでしょう。それでも無駄な行動ばかりして物事の核心をつくことができない僕は、宿題を真正面に向かえて乱取りを開始するのです。
 登れど登れど頂上は見えない鬱蒼とした森の山、それは途方に暮れるほどの高さを誇っているに違いありませんが、今の僕には確認する余裕すらないのでした。1時間、2時間、3時間…時計の短針は普段は目を凝らしても動いているのか分からないほど鈍足なくせに、今日に限って元気に走り回ってくれます。やってもやっても先の見えない成果と、無常に過ぎ去る時間に精神が耐え切れなくなり、ついに僕は叱られた小学生のように泣きだしてしまうのでした。しかしながら社会責任を負っている成人男性である僕がいくら泣いたところで優しく頭を撫でてくれる存在などいないのです。
 終わらない、時間は過ぎる、焦ってばかりで心は限界を訴えて涙がぽろぽろ止まらなくて。


 というところで目が覚めました。夢であることを一瞬で悟り、胸を撫で下ろしました。でも明日から学校だというのは事実でした。