もう耐えられない

 パソコンが手元を離れてはや五日、もうこれ以上パソコンの無い生活に耐えられる自信がありません。こうして日記を書くのにも父様の隙をついてパソコンを奪わなければならないのです。そして書き終わるのを、今この時も後ろで待機して待っているのです。こんな監視下では滅多なことは書けないではないですか。甘いものが大好きな父様の目の前で、まさか「今日はタイヤキを食べました」なんて口が裂けても言えるわけがありません。
 すると必然、日記にも嘘が増えるわけです。親を心配させない嘘で塗り固めた日記なんて、昭和の時代の嫁いだ先から両親に近況を語った手紙を書く新妻じゃあるまいし、書きたくないですよ。冗談じゃないです。
 今日は電車で座席に座ることができました。目の前にはご高齢に見えなくも無いけれど、それほどのお年寄りではないだろう、といった感じの奥様が立っていました。彼女が将来、車椅子生活や寝たきりにならないために今から足腰を鍛えさせてあげようと、席は譲りませんでした。僕だって将来足が悪くなるかもしれないというのに、見ず知らずのご夫人のために我が身を犠牲にするとは、なんて僕は優しいんだろうと関心してしまいました。今日も良いことをしたなと思います。家に帰って自己嫌悪に陥りました。