アクロスモール

 みなみのシティーに新しい遊び場が誕生した。レポートとか、デジカメとか、みのもんたとか、色々しなくてはならないことはあったものの、僕らはそれらをやりたくなかったため、とりあえず見学に行くこととなった。完璧な逃亡であった。しかも現実からのである。後で全て自分の身に不幸として降りかかると分かっていても逃げずにはいられなかった。それくらいビタミンEの局在は難問なのであった。
 アクロスモール2階にノジマ電気が入店していた。僕らは電脳世界の旅人である。何は無くともノジマ散策が始まった。思ったことはまず、安い! ということ。驚きの出血価格の連続で、この店大丈夫か、と心配してしまった。良くみると店内は異様な臭気がたち込めており、足元は紅い絨毯が敷き詰められているのであった。しかしこの絨毯、歩くたびに何か湿り気が足を取るので非常に歩き難かった。
 安いし購入意欲を刺激する品揃えだが、欲しい物があまりないな。などと話しているとうっかり僕は転んでしまった。とっさに手をついて事なきを得たが、両手のひらがべっとりと紅く染まってしまった。店内の鉄っぽい匂いといい、湿った絨毯といい、これは出血のしすぎだな、と分かり難いジョークに僕らはただただ苦笑いを浮かべるのであった。
 お昼ごはんの時間に、アクロス1階のマンマパスタで取る予定であったが、異常な混みようにあっさりと断念。こっちがOPENセールで混雑しているから、いつも閑散なモダンパスタはお客さんを待っているに違いない、とそちらに移動するも、こちらも驚きの人の入り。みなみのってこんなに人口いたんだ。僕らは生命の神秘に感動した。
 その後、小腹を満たすために釜焼きパン屋をたずねた。美人のお姉さんがガラス張りの向こう側でパンをこさえていた。動物園じゃあるまいし、可哀想だな、と思ってじっと見つめていた。メロンパンは美味だった。
 みなみのがこんなに面白い土地であったことに大学に通い始めて1年と8ヶ月にしてようやく気がついた。おかげ様でレポートが終わっていないことを忘れることができた。本当に良かったと思う。


 ♪青い目をしたキューピーちゃん。亜米利加生まれのセルライト。亜米利加生まれのセルライト
 お風呂で何とは無しに足をつまんでみたら、なんとぶつぶつとした凹みが! こいつが噂のセルライトってやつであるか? ショックを受ける。