晴れてたと思ってたけれど、よくよくみるとこれは曇り? そもそも、曇りって空の何%を雲が覆っていたらでしたっけ? な、晴れのち曇り

 金曜日は筋肉の日。服を脱いだらすごいんです、な人になるために逞しい汗を流す。
 筋肉をこさえたら、即座にタンパク質、炭水化物を摂取して補給をすると効率があがります。いそいで、可愛い店員が多いで人気なポポラマーマで『きのこベーコン豆乳クリーム』とかいうパスタを注文しました。パスタは吸収されやすい良質の炭水化物だし、ベーコンが動物性タンパク質、豆乳が植物性タンパク質と、なんとも僕のために用意されたかのような組み合わせのメニューです。コレを頼まないで何を頼めと言うのでしょうか。
 ということに今気がつきました。実際はただ食べたかったから注文したのですが、これはもう僕ほどの大物になると無意識の内に最適な選択肢を選べるということでしょう。上手いこと行ってばかりの人生も退屈ですね。たまには失敗も経験してみたいものです。
 かなりの短時間で運ばれてきたパスタに、犬のように涎を垂らしながらフォークとスプーンで襲いかからんとしたその瞬間、犬の鼻がピクリと反応しました。


 何かが欠けている……。


 類まれなる観察力と人並外れた洞察力、そして人外の外見を有する僕は目の前のお皿を舐めるように睨み付けました。本当は舐めるように食べてしまいたいほど空腹でしたが、不安があるまま食事を摂れるほど僕はお人よしではありません。つまり、アメリカはキャリホルニア米のポストハーベスト問題が明確に安全だと言えるまで、米の自由化は許さない言い張った熱い大和魂が流れているのです。
 そして見つけました。ベーコンが乗っていませんでした。最近忘年会の影響で物忘れが激しいので、今回もそのせいかもしれないと、鞄の中や机のした、見落としがちなポケットの中も確認しましたが、やっぱりベーコンは見つかりません。これは、もしかすると店側のミスではないだろうか。何でもすぐに人の責任にする僕の中の卑しい癖が顔をだし、店員を呼びつけてベーコンの所在についてたずねました。店員を呼んだ後に、自分が実に醜いことをしようとしているということに気がつき死にたくなりましたが、ここで死んだら迷惑なので思いとどまりました。
 すでにクレームをつけようなんて思い上がりも甚だしい迷惑をかけてしまっていることに、申し訳ない気持ちで一杯な僕にも、店員さんはとても丁寧に対応してくれました。この人は仏が菩薩なんじゃないかと思いました。仏や菩薩もイタリアンファミレスでバイトをしなければならないなんて、なんて世知辛い世の中だろうかと悲しくなりました。
 どうやら厨房でベーコンを入れ忘れていたらしく、店員さんは、ベーコンの入っていない目の前の皿は食うなり捨てるなり好きにして構わない、すぐに正規のものを持ってくる、と、それだけ言うと頭を下げたまま視界から消えて行きました。そんなこんなで2人前もパスタを食べるはめになり、とても食べきれないので、自宅で晩御飯を食べられないと嘆くN村さんとS水君に食べてもらいました。残すのは勿体無いですし、とてもありがたかったです。


 先生がウィーン土産に鉛筆を買ってきてくれました。あまりに嬉しくてお礼を言うのを忘れました。我がことながら、もうすぐ成人式を向かえる大人としてそれはどうかと思います。恥ずかしいです。先生にはお礼にリトマス試験紙をあげました。大学の実験室から頂いてきたものでした。正直、先生がもらっても何の意味もないものですが、普段は小学生のお馬鹿(良い意味で)を相手にしている余裕でにこやかな対応で喜んでくれました。本心は分かりません。きっと迷惑だったことでしょう、ごめんなさい。