ダークマターとエーテル

 何となく視聴していたNHKにてダークマターが特集されていた。
 ご存知の通り、ダークマターとは宇宙空間に存在する謎にして未知の物質である。
 謎で未知なのに存在していることは常識的に確定しているのだからまた不思議だ。
 ダークマターが存在しなければ説明がつかない事象がいくつもあるため、逆説的に存在が認められているのだとか。
 偽の反対は真なんて命題でダークマターは成り立っている。
 実際、ダークマターそのものは発見されているので存在は確定している。
 現状ではそれが何なのかまでは分かっていないらしいが。


 ダークマターの話を聞くたびに、エーテルを連想する。
 エーテルは人類が宇宙へ飛び出す以前に実在した宇宙物質だ。
 当時の宇宙空間はエーテルで満たされていた。
 なぜなら、地球上は大気で満たされているから。
 地球上が何かで満たされているのだから、反対に宇宙空間は別の何かで満たされていなければならない。
 そんな帰納法的な論理がまかり通っていた時代があったのだ。


 もちろん、今の宇宙空間にエーテルは存在しない。
 宇宙は真空だという『新しい真実』が発見されたことで、エーテルは存在を失ってしまったからだ。


 これと同様のことが近い将来に起こることになる。
 ダークマターの研究はなかなか進んでいるらしく、『新しい真実』が再び発見されてしまうだろう。
 既に教育期間を終えてしまった僕には『新しい真実』を学ぶ機会がない。残念だ。
 日々塗り替えられていく常識から取り残されていくのを寂しく思う。