九死
飴を舐めながらまとめブログ読んでいて、ぷふっと笑ったら飴が喉に詰まりました。
最初は詰まってると知らず笑ってたんですけど、ふと息を吸えていないことに気づきました。
衝撃でした。
あれ、これやばくね? と慌てた時にはもう肺に空気は残っていません。
苦しいし喉は痛いし涙は出るし息は吸えないしブラウザにはエロサイトも表示されているし。
まず自分が何をすべきなのか、足りてない酸素で僕が選んだのは、キッチンに走ることでした。
「よだれとか出そうだから部屋でたらしたくないなー」
というくだらない理由です。自分が死ぬとかまったく考えてません。
キッチンに駆けこんで、咳をして飴を出そうと思っていました。
咳なんか出来ませんでしたが。
もう肺に空気がないので、出すものがないんです。
必死に仕事をする横隔膜をあざ笑うかのように、未だかつて聞いたことのない音を発てる喉。
人間が息を吸う音じゃないんですよ。まじ怖い。なにあの音。
そして迫りくる死の恐怖。
僕の脳裏には二つの選択肢がありました。
パソコンを物理的に破壊する
→死なない
僕にも生に対する執着があることの判明した瞬間でした。
咳が出来なくて吐き出せないなら、嘔吐して胃の内容物で吐き出すまで。
口の中に指を突っ込みました。
それと同時に給湯器の温度を最大にあげてお湯を出しました。
飴なら溶かしてしまえばいい。
吐いても駄目な場合の保険です。
指を突っ込んだ口からは尋常じゃない量のよだれが溢れだし、地獄の回廊を思わせる絶望の笛の音を喉は鳴らし続けます。
指だけでは吐けないので、自分に自分で全力の腹パンを連打します。
どうやったのか思い出せないんですけど、背中もばしばし叩いてました。
腕が柔らかすぎる気がしますが火事場の馬鹿柔軟というやつでしょう。
というか、喉に手を突っ込んでるのにどうやって腹パンしながら背中を叩いていたんでしょう。
今冷静に考えると恐ろしい出来事です。
必死の抵抗も虚しく、それでも喉は詰まったまま視界もブラックアウトし始めて、ああこれはパソコン破壊が正解だったかーと諦めかけた時、給湯器から80℃のお湯が流れ出しました。
もうこれしかない。
一縷の望みをかけてお湯を飲みます。
が、飲めません。
飲みこむことができないのです。
泣きました。
男24歳。
エロ画像の収集のかたわら、まとめブログを読んでいた際に舐めていた飴を喉に詰まらせて死亡。
なんて悲しいことでしょう。
そんな最期があって言い訳がありません。
それはもう断じてありません。
飲めないなら……
流しこむまでだ!!
蛇口に口をつけアクセル全開。
逃げ場なく口内に80℃のお湯が噴射され、水風船よろしく膨れ上がる頬。
気合いで閉じる口。
鼻から出てくるので鼻もつまむ。
いっけーーー!!!!
そして僕は今こうして日記を書いています。
深呼吸のできる喜びを噛みしめながら。
皆さんも飴とまとめブログにはご用心下さい。