おいしい時間

 家族が僕を残して帰省をしていた。バイトやOB会と日程が重なってしまったため止む終えなかったとはいえ悲しかった。そんな先日、母様を田舎に残して兄様達が帰還した。手土産の大福を持って。
 僕の実家は、新潟県出雲崎にある。かの有名な戦時中に石油の採れた出雲崎である。毎年春になるとよもぎを練り込んだ大福を食べる習慣があるのだが、今回帰省できなかった僕のため、おじいちゃんが寄越してくれたのだそうだ。ありがたい話である。
 大福はとても美味しい。餅々とした食感と甘過ぎない餡子がとろける瞬間、口の中で奏でるハーモニーたるや、バルトークシベリウスもたじたじである。そして口内を洗浄する緑茶の旨さ。世界中のどんな有能な指揮者もこんなにも素晴らしい締め方は出来ますまい。日本人に、新潟人に生まれてよかった。
 なんて、大福を語ってみたが。。。ほら、あなたも大福が食べたくなってきたのでは??