座して心の底と見る

 タイ付シャツを正面に、正座して考えた。そんなに、僕には似合わないのだろうか。母様の言葉というのは、どうしてこうも突き刺さるのか。きっとこれは僕がマザコンだからではなく、皆そうなのだと思う。母親の一言にはパワーボムにも匹敵するほどの絶対的な破壊力が存在するのである。
 確かに僕はお世辞にも格好良いとは言い難い風貌であるし、顔立ちをしている。そして何よりオタクで変態で、おまけに変な趣味まで持っている。挙句の果てには、異性にさして興味がない不能野郎である。でもだからといって、おめかししてはいけないのだろうか。Y君のように、さり気無く格好良い服装をしてはいけないのか。所詮は元の良い奴だけが許された世界なのか?お洒落ってやつは!!僕みたいなオタクは、おとなしくチェックのシャツにジーンズ穿いているしかないってのか?!
 朝の連続テレビ小説が終わってから部屋が真っ暗になるまで黙想して考えた。明日は学校に早くに行かなければならないことを思い出した。ネクタイの件、保留。