目的はあった。忘れていただけだった。

 昨晩のことだ。内君からカラオケに行かないか?と誘われた。誘われなれていない僕は激しくうろたえた。
 その昔、友人との待ち合わせに誰も来てくれなかった、という苦々しい経験のある僕は遊ぶ約束に対して強い不信感を抱くみみっちい人間に成長していた。そのため、昨晩の時点ではカラオケの件をお断りをした。
 気がつくと、僕は自転車に跨り軽快に市街地を駆け抜けていた。傍らには唯一無二の相棒であるTAKA氏の姿があった。僕らは吹き抜ける風を全身で感じながら自転車を飛ばしていた。いや、もはや風になっていた。


 なぜ僕はここにいるのか。
 僕はどこへ行くのか。
 僕のやるべきことは、なんなのか。


 悩むことなんかなかった。答えなんか、当の昔に出ていたんだ。僕らは友の待つカラオケ屋へと急いだ。


 カラオケは楽しかった。僕が心から愛する岡崎律子さんの曲がかなり沢山あったので幸せであった。嬉しさのあまり、皆が知らない律子ソングを2・3曲歌った。

なに?これ・・・

 馬鹿にしていた。なんなんだあの映像は?!素晴らしい曲をものの見事に汚しきっていた。ショックで眠れなくなる。
 そういえば、カラオケの最中の会議で小旅行について決まったらしい。残念ながら僕は落ち込んでいたため会議の内容は覚えていていない。
 岡崎さんの曲に衝撃を受けた以外は楽しかった。僕の歌ったスピッツのロビンソンが本日の最高点をマークしたのにはご機嫌であった。