苛立ちはやがて悲しみへと昇華する

 プログラミングの教授を人間と認めたくない。全く解せん奴であった。履修を取り消すことに決めたので、もぅ二度と会うこともないだろう。敵前逃亡のようで気に入らないが、授業の不満を抱えたまま半期を過ごすことはできない。問題を訴えても改善を見せない高慢な人間とよろしくやれるほど、僕は大人ではないのだ。
 人を嫌うのはこんなにも簡単で、好きになるのも呆気無いことである。あの人は好き。この人は嫌い。至極安直だが、絶対な二面性の印象を人間は抱きやすい。すべての物事に表と裏があれば分かりやすいし、理解しやすい、生きやすいから。でも、「嫌い」の一言によって、相手との交流は以上お仕舞い。ではあまりにも悲しいではないか。こういう人もいるからな。と受け入れていければ良い。そこから何か始めなくてもいいから、その人の居場所を自分の中に用意してあげたいのだ。
 要は自分を中心に世界を見るか、自分のいる世界を見るかではないかと。
 またしても二極でモノを考えてしまう駄目な僕だから、今回は教授の授業は取らない。