軽くならないお財布が欲しい
衣料品を買いに両親とでかけました。一人で行ってもいいのですが、生憎とまだ国に車の運転を許されていない僕。父様をアッシーにするという親不孝な行為に乗り切ったのでした。
目的は黒いワイシャツ(長袖)です。渋いけど遊びのある、そんな黒が欲しかったのです。別に友人のS水君が天さんからもらったという黒シャツが羨ましかったからではありません。それはもう断じて違うのです。
ブランドに興味はないので、“大英帝国”や“佐藤九日堂”などセールしているような安物が狙いです。店内を色々と物色した末
・大きな旅行鞄 オレンジが全面にでた素晴らしく目立つ鞄(カトゥーカラー)
・お買い物バック 500円でした
・半袖の柄物シャツ いつの間にか買い物かごに入っていた
・黒いシャツ 生憎と半袖
・ジーパン スリムタイプ。苦しかったので緩めのサイズをチョイス。本末転倒
・折りたたみ傘 以前電車に置き忘れてしまい、やむなく購入
を買うことに。残念なことに長袖の黒シャツは季節外れのため、良い物がありませんでした。
大量なかごを手にレジに行き支払いをしようというとき、母様が「これも買っておいて」と女性者下着を置いて立ち去っていきました。思いがけない辱めに動揺。
さて、お買い上げ金額は1万円を越えていました。お財布を開きましたが、当然のごとく僕のお財布にそんな大金は入っていませんでした。まずい。お皿洗いでもして許してもらおうと思いつきましたが、残念ながら衣料品を扱うお店には洗うべきお皿がありませんでした。
しかたがない、親を差し出そう。
断腸の思いで決断し店内を見回しましたが母様も父様もどこにもいないのでした。
困り果てていると財布の片隅に光るものがあります。なんだこれは?!小銭にもすがる思いで引っ張り出しました。
これだ!
僕にはこれがあったんだ!!
これさえあれば何でも買える。
これさえあれば身軽になれる。
これさえあれば一段上の漢になれる。
そう、それは入手したものの一度も使うことなく財布の肥やしになっていたクレジットカードでした。いける。おまえ、いやあなた様ならいけるはずです。
思いがけない形で初のカード支払いを体験することとなったのでした。
それじゃ、カードでお願いします。
精一杯澄ましてカードを渡しました。レジのお姉さんは慣れた手付きでカードを受け取ると「ご利用回数は?」と僕に問いかけてきました。
ごりようかいすぅ??
なんですかそれは。いや、カードを使うのはこれが初めてですけど…まさか、初めてなのがばれたんですか?使い方が間違っていたのでしょうか。というかお姉さん、そんなこと聞いてどうするんですか?!
究極にパニックでした。ここは正直に1回目です。と答えるべきか、それとも鯖を読んで3回目とか言った方がいいのか。でも、もう初めてなのがばれているのなら嘘を言っても笑われてしまうだけでは…。
酸欠の金魚みたいに口をぱくぱくさせていると、「1回で」と颯爽と現れた母様が告げました。ばらされた!!母様は息子が恥をかいても良いのですか?!
「はい、一括払いですね〜」
お姉さんは微笑んでカードを読み込ませました。
ご利用回数って、何回払いにするかって意味だったんですか…。
どえらい恥をかいた午後でした。