テスト勉強もしないで

 大きな山は越したものの、僕にはまだ大学の試験の終わりは見えていない。つまり、まだまだ頑張らなければならない時期を脱してはいないのだある。だが僕は自分の中に沸々と煮えたぎる“逃亡欲求”を堪えることが出来なかった。
 気が付けば僕は車を運転しインターチェンジを通過していた。そして思い切り良くアクセルを踏み込んだ。瞬く間に流れさって行く景色。次第に明瞭さを失っていく視界。
 僕は風になった。何者にもとらわれず、自由気まま赴くままに、


 僕は風になった。


 高速教習を終えた僕はあと3時間教習を受ければ免許をとれる資格を手に入れることができる。夏旅行前に免許を!と思っていたのだが、少しばかり無理そうだ。さすがに試験を無視できない状況になってしまったのだ。とにかく、全部やってやろう。投げ出さないで頑張ろうと。