熱い雫はダレノタメ?


 目が自分のものじゃなくなったかのように違和感たっぷりに頭蓋骨の窪みの、本来『眼球』が収まるべき場所に収まっているようだった。視界はぼやけているし、何よりその存在感がとにかく不快だ。
 コレがなくなれば、違和感もなくなるだろうか?
 僕は躊躇い無く両の手で顔面を覆う。そして指先に力をこめた。
 柔らかで、それでいて独特の強い弾力の反発が指のそれ以上の進入を阻もうとする。
 どこまで俺を不快させれば気が済むんだ気が済むんだ気が済むんだ!!!!!!!
 僕は自分でも意味不明な雄叫びとも絶叫ともつかない言葉を撒き散らしながら顔の窪みに手を添えたまま両肘を突っ張り、……そして勢いよく肘を壁に叩きつけた。
 指先が奥へ奥へと強引に誘われるにしたがって、圧力が強くなるらしく、ぐぐっとした反発が強くなった。しかしもう少し進入を続けると、張り詰めた輪ゴムみたいに弾けた。
 まるで出来の悪いスライムを潰したような感触が、やっぱり不快だった。