兄様

 8月に初心運転者となった僕は、今日になって始めて母様と兄様を乗せて運転をしました。今の今まで彼らを乗せる事がまるで世界の崩壊につながるのではないかと考えているかのごとく拒み続けて来ましたが、良く考えたら拒む意味がないことに気が付いたからです。
 彼らはおおよその期待通りの反応を見せてくれました。火を見るよりも明らかに想像できた情景に運転席で笑いをこらえるの必死でした。
 車というのはアクセルを踏めば動くのだそうです。ハンドルをまわせば曲がるのだそうです。「お前の運転はただ車を動かしているだだな」と言われました。まさかそのような運転で家族3人の命を預かっていたのかと思うと怖いです。それでも運転を変わるとは言わず、最後まで僕の運転技術向上のため、身を委ねてくれた母様と父様、そして兄様の3人にはまったく脱帽です。僕ならそんなことはできないでしょう。行動よりも勇気ある静止。素晴らしい家族を持てた僕はなんと幸せ者なのかと思いました。