ふるふるふるふるふるふるふるふる

 自動車操縦の練習に勤しんだ。明日、市民数名の命を預かるため一層気を引き締めた。
 その後部屋の掃除をしたのだが、異常なほどに髪の毛が落ちていた。あわてて洗面台にある鏡を覗きこんだが、傍目には薄くなっているかは確認できない。毎日しっかり頭皮をシャンプーし、時間をかけて完璧に流しているので脂が原因ではないと思われる。最近顔の脂の量が半端無く多いが関係ないと思いたい。となると、遺伝であろうか…。薄い頭髪をお洒落に活かすか、ヘアコンタクトの低価格・高品質化に期待するか、僕に選択肢はあまり用意されていないようである。
 とりあえず、ただの杞憂であることと毛髪活性を禿頭であったご先祖の仏壇に祈った。すると天から光が降り注ぎ、厳かな声が脳内に響き渡った。こんな奇跡が起こるなんて、日ごろの行いのおかげに違いなかった。ご先祖は僕の願いを聞き届けてくれ、もくもくと髪の毛が生えてきた。なんてことは起こらなかった。そもそも僕の家にお仏壇がなかったため、祈ることさえできなかった。今度の長期休暇では田舎に帰ろうと硬く誓った午後であった。