それでどうなるのさ

 先日、駐輪場でタバコを発見しました。僕の自転車の目の前に捨てられて、踏まれていました。歩きタバコをしていて、そこで投げ捨てて、火を踏み消したんでしょう。
 その人は何を考えていたんでしょうか。
 地球の将来のことでしょうか。
 複雑な家庭環境のことでしょうか。
 仕事場での問題のことでしょうか。
 ブロッコリーとカリフラワーの違いのことでしょうか。
 そんな頭を抱えてしまいそうなことを考えていたのなら、思わずポイ捨てしてしまっても仕方がないかもしれません。ですが、一般人がそんなことを考えるものでしょうか。ちょっと無理がある気がします。結局その人は、自分の視界からゴミがなくなれば、そのゴミは消えて無くなると信じている阿呆なんだと僕は思います。この考え方をする人は日本国内に大量にいるでしょう。
 例えば、あなたは飴を舐めたとしましょう。あたりを見回してもゴミ箱はありません。仕方なく持って歩くとして、そのとき風がゴミを吹き飛ばしたら、あなたはどうしますか? 包み紙は小さなビニールです。わざわざ追いかけて拾うのが面倒くさいと思うのではないですか? そのまま飛ばされるのに任せてしまいませんか?
 そういうことです。ゴミが地面に、ましてやアスファルトの道路に分解されるわけがありません。ですが、あなたの手から、視界から、その姿が離れた時点でそのゴミの存在自体をなかったことにしてしまうのです。
 いや、私は拾ってゴミ箱に捨てる。という人。じゃあ、道端に落ちている誰かが投げ捨てたであろうゴミは拾いますか?
 拾いませんよね。僕だって拾いません。あ、ゴミがあるな。と思ったところで、そのまま通過して何事も無かったかのように振舞います。視界から消えてしまえば、そのゴミは僕とは無関係ですから。そういう甘えがあるわけです。そのままにしておいたって、そのゴミは現実には消えることはありえないってことくらい誰だって分かっているはずなのに。
 話を戻します。僕はそのタバコを指でつまみあげて自転車に乗りました。駐輪場の目の前はコンビニです。灰皿があるのを知っていますから、そこに捨てるつもりでした。駐輪場は風が吹かない場所なので、自然消滅してくれません。毎日朝夕、ここでタバコを見なければならないのは実に不愉快だな、と思いました。何よりタバコは嫌いです。
 指先にタバコを挟み、片手運転でコンビニまで行くわずかな距離。その間にすれ違ったおばさんが、僕のことをものすごく嫌なものを見たって感じの表情で見ていました。タバコを吸いながら自転車に乗る馬鹿。そう思われたようでした。なんだか悲しくなりました。
 でも、そういうものだと思います。たとえそれがタバコでなかったとしても、ゴミを拾っている人、乃至はゴミを持っているひとは変な目で見てしまうものです。目の前で突然ゴミ拾い出したら、誰だって「こいつ頭がオカシイんだろう」と思うはずです。
 社会の常識がそこでずれてしまっています。日本が汚いのはそういう風潮があるからです。改善するために必要なのは根底から考え方を変えることだと思います。
 ゴミは視界から消えても消えてない。
 まずそこを意識していきましょう。僕も意識して生活します。
 思いのほか長文になってしまいました。ロボットさんの話を読んでいて、少し疑問に思ってしまい書き始めたのですが、少し位は僕の考えが伝わっていることを願います。