コロニー

 大腸菌を寒天に塗りたくってきました。明日には気持ち悪く増殖していることでしょう。鼠算式に増えるなんて、まったくいけ好かない奴らです。
 先日トレードに出された傘ですが(10/24の日記を参照)今日は雨天だったため、トレード執行人が持ってきてくれてました。実に一ヶ月ぶりの邂逅です。涙で視界が歪みました。ですが、骨が曲がっているのは涙のためではないようでした。それから錆だらけになっているのも、決して僕の視力が落ちたからではなさそうでした。まるで廃棄工場の異名を持つ巨人軍のようです。買ったばかりだった鈍色に輝くフレームはもはや光輝くことはないのでした。
 錆びてたって、曲がってった構わない。もう一度一緒に雨を楽しもう、とも思いましたが、やめました。もし、僕が自分の傘だ! と主張して持って帰ってしまえば、今日この傘を差してきた人は他の傘を強奪して帰るであろうことは容易に予想できることです。そうすれば、また誰かが悲しむことになります。狂った歯車は、一箇所元に戻しても崩壊を促進させるだけなのです。だから僕は今の傘でいることにしました。悲劇は僕だけで十分です。ああ、なんて素晴らしき自己犠牲の精神でしょうか。自分に照れてしまいます。