26

 連絡不足で参加者が少なかったチキンズ練習。まさかS水君ことシロリまで来ないとは思いませんでした。寂しいです。
 僕、TAKA氏、筋肉さん、秩父人、グラサン、ケーキマンの6人で練習していると試合をやりたいとこそこそと話している輩が集まって練習を始めました。僕らのすぐ脇で。邪魔だなー、と内心思いながら無視していると向こうから話しかけてきました。予想通り、「試合しませんか?」とのこと。何やら僕らの野球レベルを踏まえたうえでのお誘いのようで、つまり僕らは馬鹿にされていると考えて宜しいんでしょうか。温厚とは程遠い性格の僕はこういう事態に燃え上がります。二つ返事でOKをだし、試合がはじまりました。
 誘ってきたわりにはあちらさん(チーム名を教えてくれませんでした。以下18歳の方々チームと呼びます)も6〜7人しかいませんでした。守備を貸しあっての試合です。
 まずは18歳の方々チームの攻撃。ピッチャーは僕です。相手の実力を確かめるために5分くらいの力で投げてみたのですが、あっさり3者凡退。あれ、いままでチキンズが3者凡退なんてしたことあったか?! チキンズ初の無難な立ち上がりの瞬間でした。
 興奮収まらぬまま攻撃にはいるチキンズ。先頭バッターはもちろん僕です。チキンズ内での僕の権力は絶対なので、すべて僕のやりたいように成り立っているのです。緊張の第一打席、気がつけば第二打席、あれれ? 6人しかいないとはいえ、1回に2度目のバッターボックスなんてあったか?! チキンズ初の打線爆発の瞬間でした。
 興奮冷めやらぬまま2回表の守備。ここらへんから、なんとなく気分が悪くなって来ました。一方的な試合展開に喜んでいたチキンズとは違い、18歳の方々チームは楽しくないわけです。特に微妙に経験したことある(?)みたいな天然パーマが口汚くチームメイトを詰り始めたのです。ルールをちゃんと理解していない素人相手にそんな乱暴な言い方はないでしょう。そんな彼らをみているとイライラしてきます。向こうも同じように打って、乱打戦になれば少しは良くなるだろうか? 僕はかなり手抜きで、具体的にいうとフリーバッティングと同じ軽さで投げてみました。
 それでも打てないくらいの素人だった18歳の方々チーム。約束の5回を終える頃には得点を覚えていないほどの点差が開いていました。
 そんな感じで微妙にうんざりする気分で試合終了。初勝利であることに気がついたのは終了5分後のことでした。でも時間がたつにつれて下品な相手の記憶が薄れてきて、勝利の喜びが僕の体内を駆け巡りました。


勝った!


 野球やっててよかった。勝つということがこんなに嬉しいものだとは知りませんでした。思えば僕の人生で勝負事に勝ったというのは、これが初めてだったような気さえします。それだけに残念です。できれば全員でこの瞬間を迎えたかった。エイトさんも、シロリも、愚痴多も、人妻も、K籐も、聖帝も、皆が集まっていれば良かったのに……。僕の連絡不足が原因で集まれなかっただけに、本当に残念で、申し訳ないです。ごめんなさい。
 エイトさん、そんなことないです。エイトさんもチキンズの一員ですから、自分がいたら勝てなかったとか、それは変な話です。そんなの違います、僕はみんなで楽しみたいだけですから。だからあの場にエイトさんがいなかったことが残念でならないです。
 18歳の方々チームはチキンズを始めたころの僕らその物な感じです。素人ばかりが集まって、ルールも良く知らなくて。そう考えると、僕らは成長したんだなと思います。次こそは全員野球で試合をして、そして勝ちたいと改めて思いました。