劇場版って名が付くとどうしても劇画っぽい

 劇画タッチは好きです。テレビではできない大胆なカットが映画という2時間のドラマには盛り沢山です。臨場感、息遣い、大きなスクリーンで元気に走り回る観鈴を観ておけば良かったと、己のかつての未熟さを呪いました。
 今日はアニメイトTVさんで無料配信されている劇場版AIRを観賞しました。2時間という長いようで短い、限られたコマであのAIRの物語を凝縮すると、4倍速でもちょっと尺が足りません。そのため、劇場版では原作とは一味違った脚本で描かれていました。
 初めこそ、原作との違いに不満顔もしましたが、流石は東映アニメーション! 実力派です。秀逸で無駄のない脚本に、場面の魅せ方を心得たカット、声優陣にもぬかり無し。
 素晴らしかったです。内容に触れては一瞬でネタバレなので一切触れませんが、原作をやった人なら文句なく楽しめるでしょう。原作を知らない人は、ちょっと置いてけぼりになるかもしれません。ですが、そこから色々考察できる懐の広さを、東映さんは持っています。意味わかんねー、となる前に、どういう意味だったのかをじっくり振り返って見たら、また面白いですよ。
 しばらくの間アニメイトTVさんで無料配信してくださるようなので、興味があってもなくても観ろ! とは言いません。ただ、これだけは明言しておきます。
 僕は感動した。涙した。
 名作は、人にあまり知られていないからこそ光を放つのかもしれません。