過去とか未来とか、もうどうでもいいから

 あと10秒、あと10秒だけでいいんです! 私に時間を下さい!
 自己を見つめなおして、あと10秒で何ができるのか考えたら涙が出てきた。
 僕の一生は、彼女の10秒に遥か及ばない。
 絶望はしない。むしろ希望がうまれた。
 これからの僕の10秒が、僕の一生を上回る、それもまた可能なのだから。


 研究を始めようと思います。
 今日は先生とお話をしました。
 DNAが無駄だから、DNAを使わないで実験をして欲しいと言われました。
 先生、僕の研究はDNAを活かすための研究だったと記憶しています。
 心優しい先生は、まずは手慣らしの実験を僕にやらせようとしているようです。
 でもね、もう少し、言葉を選んで欲しかったです。
 ところがどれだけ想像してみても、自分が実験に失敗している姿しか浮かばないではありませんか。
 これはもう先生が正しいとしか言いようがありません。
 やっぱり先生は凄い人だなと思いました。