子供用品

 直属の上司に家族が増えたらしい。
 元気な女の子が生まれたそうだ。
 なんともめでたい。
 僕を含む新入社員一同は、直属の上司にお祝いの品を贈るべくベビー用品店へ向かった。


 なんとも幸せなオーラの立ち込める空間。
 幼子には未来しかなく、それを見守る家族の愛で満たされた場所でした。
 殺伐とした気持ちで生きる僕までなんだか幸せな気分になって、乳児服を眺めてしまったのだから、その幸せっぷりが分かろうというものです。
 恐ろしい場所。ベビー用品店。


 だいたい30分くらいはいたでしょうか。
 適当に指差したバスローブ(?)が意外にも女性陣に人気で、それに決定しました。
 早く決まって良かったです。
 あのままあそこにいたら、僕も子供が欲しくなってしまいそうでした。
 僕が子供を欲しがったら、もう犯罪の匂いしかしてきませんからね。
 社会の為にも、あの場所に長く留まることにならなくて本当に良かった。


 あんな幸せが、僕の生まれた時にもあったのかと思うと、なんだかこそばゆいですね。
 おとうさんおかあさんありがとう。