眠いならさ

 中学の同級生(女)から留守電が入っていた。驚いた。僕は元中の彼らとは付き合いが希薄なのだ。なにかあったのかと心配になり電話をかける。
 やけに甘ったれた声が受話器越しに響いた。なぜか無性に腹が立った。対応もどこか妙で背筋がぞわぞわとした。なんなんだこいつ、と思った。どうしたのだ?と問いかけると、今一人で留守番してるんだけどカノソどうしてるかなぁと思って。と意味不明なことをのたまった。ずいぶん久しぶりな相手にそんな内容の電話をかけるな!と怒鳴りたかったが、もう大学生なので冷静に適当に応対する。
 なんだかだらだらと長話に発展させられそうな予感がしたので「お前は眠いな?眠いんだな?そうに決まっている。じゃあな、おやすみ」と言って受話器を叩き付けた。我ながら大人っぽく決まったなと思った。結局彼女が僕に何の用事があったのかは聞けず仕舞いだった。が、嫌な予感がするので、たぶん聞かなくて正解だった。