思考が到達する

 見極められるために教習所へ行った。今日の車は格好いい新車であった。興奮の旨を伝えると、「いや、これが普通だから」と一蹴にされる。なんでも僕は所内にも数えるほどしか保有されていない古いタイプのものばかりに乗っていたらしい。驚かれるというか笑われる。僕のひたすらに澄んでいて曇りのないビー球のような美しいピュアハートが痛く傷ついた。
 新車はボロとは勝手が違った。慌てふためく僕、言われたコースは間違えるは坂道ではバックするは縁石に乗り上げるはで散々であった。そしてエンストしまくりであった。でもなぜか見極め印を押してもらえた。なるほど、こうして危険な車が公道を暴走するのだな。と納得する。
 なんにせよ、いよいよ次は仮免検定である。気合をいれて挑みたい。
 僕は今まで教官に怒られるのが嫌で登校拒否(?)をしていた。けれども、それは間違えであることに昨晩のベルトさんとのやり取りで気づいた。よくよく思い出してみよう。教習所には僕自身が車の運転を覚えるために進んで通っているのである。自らの発展のために、高額な入所料を支払ったのだ。僕をぼろくそに罵る教官達も、言わば免許取得のための道具に過ぎないのである。むしろどんどん悪いところを指導してくれたほうが助かるではないか。
 何も怖れることなんてなかったんだ。
 そうだよ、そうだったんだよ。理解したとたん、すべての雲が晴れていた。
 こうして「思考は到達する」のは貝塚先生の授業のおかげであると思われた。氏に最大限の感謝をする。そして僕の言葉もプリントの一枚に加えてもらいたい。


 都合の悪いことに耳を塞いでいられる間は幸せだろう。 ――カノソ


 「思考は到達する」プリントは今も大切に保管されている。
 結局役場には行かなかった。年金の申し込みを早くしなければと焦る。So田さんやSS木君はもう済ませたのだろうか。。。明日は一日中学校なので、チャンスは水曜日しかない。国のシステムを考えると、年金を払いたくて仕方が無い僕である。確実に仕事をしなければと思う。