亜米利加土産の仏蘭西チョコレート

 バイト先の大番長が亜米利加修行から無事帰還してしまった。バイト先でまた無口を気取る毎日が帰ってくるのかと思うと気が滅入る。
 大番長は『猪口霊徒』なる甘美な菓子を手土産に持って来ていた。その『猪口霊徒』が如何なるものかは存じていなかったが、甘いという情報により僕の唾液線は限界ぎりぎりまで活動を活発化させていた。周知の事実であるが、僕は甘いものが大好物である。
 大きな箱を空けると『香々緒』の香りが一帯に広がった。なんというよき香りであろう、脳が蕩けてしまいそうであった。『猪口霊徒』はいくつか種類があるらしく、僕は目ざとく見つけた説明書きを隅々まで即座にチェックした。英語には多少の覚えがある。どの猪口霊徒がどのような味であるかを