破砕

 朝、自転車のスタンドが吹っ飛んだ。甲高い音がしたからなにかと思ったら、スプリング(金属)が切れて弾けた音だった。手ぬぐいで応急手当をして学校へ行く。


 なにかが壊れていくのを感じる。物理的になにかしらの物質が崩壊しているのではなく、精神的な何かが擦り切れて、大切に守られていた大事な部分が外気に晒されている感じである。満員電車内で頭を抱えて体育座りをしたい衝動に駆られた。胸をぎゅっと握り締めて必死で耐えたが、明日も無事でいられる自信がない。
 バイト先に現れたお客様により、病状が進行した。頭をかきむしって不快なものを掻き出してしまいたかったが仕事中なので舌を噛んで堪えた。叫ばなかったのは奇跡だと思う。
 ウーロンハイ、悪魔の飲み物である。