ブラインドをあげると、遠すぎる青空を覆う桜がみえた

 なかば強引な手段でブラインドを修理しました。修理と言うか、ただ手で持ち上げて紐で縛っただけですけど。2日ぶりに日が射し込んだ部屋はいつも以上に汚く見えました。薄暗いときには気がつかなかった埃や汚れが目に付いてしまいます。これはいけない、と掃除機を取りに行こうと足を出そうとするそこもなにやら細かなゴミがあるではありませんか。きっと踏んだらジャリっとするに違いありません。そんな気持ち悪いことはごめんです。僕は足を引っ込めました。
 これでは汚いのが気になって窓際から一歩も動くことが出来ません。このままではいけません。このままではここで立ったまま飢え死にするしか道はありません。足の裏がジャリっとするくらいならお腹がすいているほうが遥かにマシです。ですが、空腹は辛いです。我慢できません。
 小一時間立ちすくんだまま、あれこれ考えていました。具体的には、年度末の予算合わせに工事が増えることとか、桜の見ごろはいつかとか、世界平和のこととか、手紙の書き出しをどうしようとか、北島康介のこととか考えました。そしてブラインドを下げました。するとまた部屋は薄暗くなって、埃やら汚れやらは見えなくなりました。僕は安心してリビングへ歩いていき、お昼ご飯を食べました。