夢だったんだ

 女性と二人で一緒に帰宅。多感な思春期中学時代からのささやかな憧れであった。
未だ 年齢=彼女いない暦 である僕にとって、女性と帰宅とは人生ゲームでいうところの結婚と同じ位ビッグなイベントととして認識されていた。
 それが今日、思わぬ形で実現した。
 別段好意を持っている相手ではなかったが(というか、好意を持っている相手など存在しない)、彼女は帰り道が全く同じなのである。このことを大学3年になる今日まで、僕はいっちょん知らんかった。何度と無く顔を合わせてきたが挨拶だけの間柄であった。人間、話してみないと分からないことばかりだということを知った。
 夢だったシチュエーションも、実際体験してみれば何ということはなかった。こんなことを特別だと思っていた過去の自分が、坊やに思えて仕方が無い。
 心配なのは、僕などと一緒にいたことで彼女までもが他人から妙な目で見られはしなかったかということだ。確かに道は同じだが、あまり近づかないほうがいいのかもしれない。


後26日