お姉さんが必死な様子
学費の振込をしようと銀行へ行った。
ほんの数日前にもこうして銀行に行った記憶があるが、おそらく気のせいである。
札束をATMから吐き出させ、窓口に向かおうとしたその時、不意に腕を掴まれた。
しまった。ひったくりだ。
慌てて手に持ったままだった札束を抱え込もうと身体を捻った。
僕は他人よりもATPを燃焼させるのが得意なので、それはもうものすごい勢いで腕をふりほどくことに成功。
腕を掴んできた人物は短い叫び声とともに足元にひれ伏した。
逃げる前に犯人の顔をとチラ見したのだが、そこにいたのはピンクの制服を着用した女性だった。
激しい勘違いをしていたことに気づく。
お姉さん推定36歳は銀行と提携したクレジットカードを契約してもらおうと声をかけてきたのだと言う。
堂々と行内で勧誘しているし、よくよく見れば小さいながらも契約特設設備まであった。
申し訳ない気持ちで一杯になったので契約した。
どうせ使わないの新しいクレジットカードが手に入る。これで4枚目だ。
いずれも年会費無料なので問題ないのだが、いずれも同じ会社というのは如何なものだろうか。
ちなみに、契約は学費を振り込む手続きをしているわきで行った。
そこまでがっつかなくてもちゃんとサインしますから、とは内気な僕には言えなかった。
もちろん、二つのことを同時にやれるほど僕は器用な人間ではない。
配偶者はいるとチェックしてしまったが、大丈夫だろうか。
二次元の嫁ならいるが、それが社会的に認められるかといえば当然のごとく否である。
僕の愛する妻と娘が否定されたようで悲しくなった。
否定したのは他ならぬ自分という事実に余計悲しくなった。
明日は学校に行って現実世界の人と関わろうと思う。
それから家に帰って掃除をした。
教科書とか、レジメとか、ノートとか大好きな化学だけ残してあとは全部捨てることにした。
かなりの量を廃棄したが、机からあふれ出してた私物をあるべき場所に仕舞うと以前と変わらぬ惨状に戻った。
それでも少なくとも足元は若干きれいになったので良しとする。
これから家をでるまで物が増える予定は5件ほどしかないので大丈夫だと信じたい。
今日もたくさんの埃を吸ってしまった。体調が悪い。
眠ることにする。